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2004 Berck Sur Mer
2004年4月16−25日
スポーツカイト・世界チーム選手権
TeamKAMIKAZE参戦レポート
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チーム・スピードから離れ、2003年の半ばに新チームを立ち上げたばかりで、僅か半年間の国内での大会戦績から、何とかチームKAMIKAZEが国際試合への出場権を得たのは、押し迫った12月だった。1月からは、フランスのBerckで行なわれる”世界チーム選手権”への参戦に向け、ノルマンディ地方の気まぐれな風対策、特にVent仕様のカイトとHalf-Vent仕様のカイトの新たな製作と、StdとULの再チューニングアップを始めた。あえて最新のチーム用カイトは使わず、いちから自分達のカイトを作り上げることにしたのも、その作業自体を楽しむためだ。

Nemesisをリメイクしたり、チューニングしたりすることは、エスクが全面的にバックアップすることにしたが、それはいち企業としてではなく友人として商売抜きである。また、チーム・メンバーのすべてが、スペシャリストであることが幸いし、全員がそれぞれの得意分野を分担研究することで最大の力を発揮できるように協力し合ったのである。特に、過去に参戦した日本チームが苦しめられてきたノルマンディーの強い風速下でのVent性能の不足を、徹底的に究明して、風速20m超でも使い得るBerck対策のスペシャルなVent仕様カイトも用意できたのである。

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一見、普通のNemesisだがセイル以外(セイルの一部も縫い直し)フレームもブライドルも、ウィスカーもすべて全くの別物状態。アスペクト比も変更。フルチューニングアップのためにはウィスカー用の素材の(分子素材工学の分野の)試作までやる徹底ぶり。Vent仕様の製作のためにはテスト・ベットとするカイトを切り刻み潰して、どこをどう空けるか、どこは空けてはならないか、の研究を周到に行なった。テスト・ベッド機は最後には穴だらけとなり、またリペアパッチだらけになってしまう宿命であった。そういう地道な作業がBerckに挑戦するには必要不可欠である。

事を起す前に大切なことは、”どのようなカイトが必要なのか”それを明確にすることだった。そのためには、どのようなルーチンでどう飛びたいのか。チームバレエはどうするべきで、フリーのプレシジョンはどうするか。これがチーム全員でしっかりと認識され又、コンセンサスが得られていなければならない。そうでなければ、それに合わせて完全に作動するカイトなどは作れない。ということは、迷いのない思想がしっかりとあるかどうかだったが、KAMIKAZEにはそれがあった。だからスムーズだった。これは坂根さんが本当に真剣に考えた抜いた結果です。

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その考えに基づいたルーチンはシンプルで、分かりやすく、また、ポイントをきっちりと押さえた秀作を菅河さんが考えた。フリーのプレシジョンは特に重要であるが、そのルーチンは多くの他チームから素晴らしいと言ってもらえた。そして、そのルーチン通りにどんな風速でも描けるように(もちろん世界の水準に負けないスキルで)コントロールできるカイトを皆とエスクで作った。空に貼り付くカイトを。そして確かにそのカイトはしっかりと貼り付いて飛んだ。それが1日目のプレシジョンにおいて第1位で通過する快挙に表れた。

4月16日9時40分JA425便で関西空港を出発。現地時間15時にシャルル・ドゴール空港へ到着。空港内のカフェでのんびりダベッていたら、Berckへのシャトルバスの運転手が私達を探し回っていた。選手権に行くチームのために助言しておけば、シャトルバスの着く場所は事前に確認し、顔を出しておいた方がいい。無頓着にコーヒーなんてやる前に。車内ではコロンビアのチームが待っていてくれたので謝る。早速、国際親善。チーム・2600とはボゴダの海抜から取った名称だそーだ。ボゴダには7チームもあるそうだ。などなど話す。

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日本チーム3チームの中では一番乗りで
4月17日にBeckに乗り込む。まずは心配な風や気候の状況をチェックし、カイトを調整するためだ。練習するためではない。実際、現地では殆ど練習しなかったので、「君達は何で練習をしないのか。」と言われたくらいだった。18日朝、ショアに出てみると、オンショアの4mくらいのいい風が吹いていたものの、それが3m、2mと落ちて午後からは逆に暴風のような強風になった。ネコの目のように変わるBerckの洗礼だ。今日は午後からはリラックスして坂根さんの風邪を治す。

18日は朝から強い風が吹き、しかも雨。状況偵察のため、早朝、ショアに出てみると、エレメントエアが雨中でびしょ濡れになりながら、Ventでフリーのプレシジョンの練習をしていた。これはヤル気になっている。ナニがナンでも優勝するという気迫があった。今年のエレメントエアは4人チームになっているがプレシジョンは3人でやるつもりらしい。練習は3人だった。Berckの海岸はとても広い砂浜になっている。海の向こうは英国だ。
Berckの町は戦争の時、爆撃されたとかで建物は比較的新しい。海岸にはル・コルビジェ・スタイルの建物が立ち並んでいて、古いDieppeのような風格ある建築は少ない。

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この町で毎年行なわれているチームの世界選手権は町を上げての一大イベントである。以前にスポーツカイトのワールドカップも行なわれていた近隣のDieppeと比べると町も小さく、名前も知られていないので特に力が入っているようだ。同時にジャズ・フェスティバルなども行なわれる。本来ならば今日の日曜日はメインストリートでパレードが行なわれ、私達チームもそのパレードに参加するよう要請されていた。ところが、この雨でパレードは中止となり、楽しい衣装に身を包んだ町の人達がVIPテントに集まってきた。そして、町の楽隊によって歓迎式典が行なわれた。

競技は20日からだが、今日は日曜日なので雨が止んだ午後から強風下にも構わずデモンストレーションが始まった。風速は12mから13m前後、瞬間18mまで上がるという状況で行なわれたものの、順番が後のチームになるほど風が強まり、私達の時は瞬間20mを越える。日本を出る前に坂根さんが言っていた「せっかく中野さんに作ってもらって悪いけど、このVentまで使うようになったらもうお終いや。」と。 その超強風仕様のVentをナンと初日から使う破目になっている。全く先が思いやられる。デモでは2、3のチームでクラッシュが有ったが私達も接触しランディングも失敗し、冷や汗ものだった。

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完全な筈のVentのスピードがこの風速になると意外と速いので、ランディングの多いルーチンでは大変だ。風が強まる中でVentのポケット・シートの組み合わせを夕方まで何度もテスト。その間も風は上がり続け、瞬間風速24mを越えると砂が雨のように舞い上がって来た。その後、どうやら、ナカイさんもうまくランディングできる状態に調整されて来た。その直後、スピードを落とすためにつけていたエアブレーキのラインがバチッと切断。結局、ここで止めてホテルに戻る。夜はエアブレーキの修理である。←現場で撮ったのだが写真ではその風速が伝わらない。

4月19日、今日は昨日とはガラリと変って天気が良くて微風である。昨夜到着した2チームWindyMagicやNeoの他、マーレーシア以外の各国代表の16チームが揃った。(マレーシアのみ遅れて参加。全17チームとなる)砂浜に建てられたこの純白のテントはVIPテントと言い、この中でチームのブリーフィングやランチ、そして夜には憩いの場所になる。各国の選手には飲物カウンターでビール・果実飲料・コーラ・コーヒーが無料(チケットで)提供される。ランチは毎日異なったメニューでカフェテリア・スタイルで提供され、食事は豊富でまたとても美味しかった。

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世界中、どこの大会やイベントでも彼の姿のないところは無い。超有名人のカイトフライヤー。一人で3機を同時に揚げて、自由自在にスタックやバーストを披露してくれるのはカナダ人のレイ・ベイゼルさん。とても、人懐っこい人で、最近、奥さんや子供さんを相次いで亡くしたということや天国をを見上げながらカイトを飛ばしていることを話してくれた。
この大会でも、このような巧みの技を持つフライヤーをゲストとして招待していたが、その中にはカール・ロバートショウ兄弟やヨーロッパ・ペア・チャンピオンのオーペアのアンソニーとバートランドもいる。これも楽しみ。

練習しないKAMIKAZEも今日はあまりにいいお天気なので、少しだけ練習した。風は3mから4mで、とてもいいコンディション。実はハーフベントのテストがしたかったが、そこ迄の風も無い。明日からは競技が始まるので一通りのカイトは飛ばしておきたいもの。
今日はスタンダードとULの日になりそう。でも、Berckで油断できないのは、こういううららかな天気が、数時間後には嵐になったりする豹変振りが珍しくないところなのだ。だから、どんな風が来たとしても、その風をモノにできるチームしか勝てない。強風は苦手、微風は苦手、等は、ここでは通用しない。

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bek016.jpg (51362 バイト) アメリカ代表のカッティングエッジ。結構な年齢の3人組だが、彼らはカイトを知り尽くしていると思う。飛ばすスキルもかなりなものだけど、彼らにゃアタマもある。Nextをチームに使うという手で来た。チョッとサイズが小さいカイトで色もハッキリしないパープルなんぞで、一見たいしたことが無さそうに見えるが、カイトを良く見ると、ここまでヤルか、の世界が見える。彼らのルーチンに最適な機能を発揮している。ターンよし、ストールよし、ランディングよし、加速よし。圧巻はVentで2種混合のセイル素材の選択がいい。初日の爆風下でその飛びを見たが、最も安定していた。

4月20日競技初日はBerckの先入観とは異なり超微風。風が無さ過ぎるのも有りがたくない。開始前、VIPテントでコンペティター(競技者)のためのブリーフィングがあった。このブリーフィングは全て英語とフランス語で行なわれ、内容の殆どはレギュレーションの説明と変更個所の有無。そして使用するフィールドのこと。フライトオーダーの順。チーム毎に異なるインとアウトの方向。更にリラウンチを担当せねばならない相手のチームなど、IRBルールに基づいた主要な説明である。語学が苦手な日本人は大変な時間になり得る。判らなかった、では済まないからね。

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